こんにちは。ヨッピーです。
突然ですが、みなさんは「テキストサイト」をご存じでしょうか。
Yahoo!検索で、「テキストサイト」を検索!
昨今はTwitterやFacebookなどのSNS流行の影響か、ブログすら書かない人が増えてきました。そのブログも存在しなかったかつてのインターネットでは、画像でも動画でもなく、「テキスト」をメインコンテンツに据えたサイト群が一世を風靡(ふうび)しており、それらを総称して「テキストサイト」と呼んでいたのです。
そのへんの歴史みたいな部分については、手前味噌(みそ)ですが僕が以前に書いた下記の記事が参考になるかもしれません。
あれだけ流行ったテキストサイトが何故廃れたのか考えてみる(外部サイト)
ちなみにこちらの記事は、URL変更のためSNSの数値がリセットされていますが、はてなブックマークが1200件もつくなど大変話題になりました。
そんな、「古き良き時代のインターネット」を象徴するような「テキストサイト」ですが、今、その多くは姿を消しています。
では、過去にそういったサイトを運営していた人たちは、今何をしているのでしょうか。
調べてみることにしました。
レッツ! Yahoo!検索!
「吉野家コピペ」の生みの親、新爆さん
テキストサイト時代に大流行したもののひとつが、「吉野家コピペ」です。
※以下、引用
昨日、近所の吉野家行ったんです。吉野家。
そしたらなんか人がめちゃくちゃいっぱいで座れないんです。
で、よく見たらなんか垂れ幕下がってて、150円引き、とか書いてあるんです。
もうね、アホかと。馬鹿かと。
お前らな、150円引き如きで普段来てない吉野家に来てんじゃねーよ、ボケが。
150円だよ、150円。
なんか親子連れとかもいるし。一家4人で吉野家か。おめでてーな。
よーしパパ特盛頼んじゃうぞー、とか言ってるの。もう見てらんない。
お前らな、150円やるからその席空けろと。
吉野家ってのはな、もっと殺伐としてるべきなんだよ。
Uの字テーブルの向かいに座った奴といつ喧嘩が始まってもおかしくない、
刺すか刺されるか、そんな雰囲気がいいんじゃねーか。女子供は、すっこんでろ。
で、やっと座れたかと思ったら、隣の奴が、大盛つゆだくで、とか言ってるんです。
そこでまたぶち切れですよ。
あのな、つゆだくなんてきょうび流行んねーんだよ。ボケが。
得意げな顔して何が、つゆだくで、だ。
お前は本当につゆだくを食いたいのかと問いたい。問い詰めたい。小1時間問い詰めたい。
お前、つゆだくって言いたいだけちゃうんかと。
吉野家通の俺から言わせてもらえば今、吉野家通の間での最新流行はやっぱり、
ねぎだく、これだね。
大盛りねぎだくギョク。これが通の頼み方。
ねぎだくってのはねぎが多めに入ってる。そん代わり肉が少なめ。これ。
で、それに大盛りギョク。これ最強。
しかしこれを頼むと次から店員にマークされるという危険も伴う、諸刃の剣。
素人にはお薦め出来ない。
まあお前らド素人は、牛鮭定食でも食ってなさいってこった。
この小気味の良いテキストが各所に貼り付けられるなど爆発的に流行し、さまざまな改変バージョンが派生したり、フラッシュ化されたりするなど、ネット上の一大ムーブメントを生み出しました。
このコピペがきっかけとなり、大勢で吉野家に押しかけて「大盛り、ねぎだく、卵」を注文して食べる「吉野家オフ」が流行し、「吉野家」が当時ネット民のソウルフード的な扱いを受けた。これは「吉野家オフ」で画像検索した結果
吉野家コピペのフラッシュアニメ化が話題になった「ゴノレゴ 吉野家」を画像検索。当時のフラッシュアニメ流行のきっかけとなり、2006年には「日本のメディア芸術100選」に選ばれている
ゴノレゴ「吉野家」(※音量注意、外部サイト)
そんな流行の元になった「吉野家コピペ」以外にも、2ちゃんねるなどでコピペの元になった文章を多数生み出したのが、テキストサイト「NOTFOUND」を運営する新爆さん。
ではその新爆さん、今は何をしているのでしょうか?
実際に調べてみました。
新爆さんを探索
「Twitterとかやってないのかな?」と思って、「新爆 Twitter」で検索したらあっさり見つかった
じゃん! そんなわけで本邦初公開!
吉野家コピペを生み出した男、新爆さんだーーー!
ちなみに新爆さん、意外にもこのようなインタビューを受けるのは初めてだそうです。
もちろん写真が出るのも初めてなのですが、「別に顔出しても良いんだけど、太っちゃって恥ずかしいから痩せてからにしてくれ。この写真も使うの良いけどフォトショでちゃんと細くしておいてね」と言われたので、残念ながら顔出しはNG!
Q:今何をしてるんですか?
新爆さん「今は、もともといた出版社から仕事もらって雑誌の編集とライター業をしてるよ。そもそも俺はハタチ過ぎの頃引きこもりだったんだけど、『これじゃまずい』ってんで、大阪の新聞社で働き出して。『吉野家』を書いたのもその時だったんだけど、今度はその新聞社の仕事が嫌になって24歳で東京に出て出版社で働いて。それも30歳の時に辞めて、今は外注みたいな形で雑誌の編集とライター業してる」
現在、36歳の新爆さんは今でもその文章力を生かして主にライターの仕事をしているらしい。ちなみに収入は「なんとかご飯が食べられて、なんとかホッピー飲みながら競馬ができるぐらい」だそうです。
Q:「吉野家コピペ」の影響は?
新爆さん「影響なんて何にもないよ。あんなにウケたのに、俺の手元には一銭も入って来なかったからね。『ふざけんじゃねえよ。人が牛丼食べた赤裸々な日記を勝手に拡散しやがって』って感じだよね。ただ、吉野家コピペ以降ずっと四国に住んでる知らない男から定期的にメールが届くんだよね。1カ月に1回『地震を予知しました』って『何月何日は危ないので関東から脱出してください』って地震の予知情報をメールしてくるの。もちろん毎回ハズれるんだけど『そろそろデカいのがきます』とか書いてあって。それがあの3月11日は全然メールしてこなかったからね。あとで聞いたら『バイトが忙しかったんで』とか言って。まぁライターをしていて俺のことを出版社の人が紹介する時に、『吉野家コピペを書いた人です』みたいに紹介してくれると『あぁ、あの!』みたいな感じで別の仕事につながったりすることはあるなぁ。あとは、サイトで競馬の話ばっかりしてたから、競馬のコラムみたいな仕事がまわってきたりとか」
新爆さんの話を聞く僕。撮影は新爆さん。場所は新爆さん行きつけの上野の飲み屋
Q:もうテキストサイトはやらないんですか?
新爆さん「時代遅れになっちゃったからね。ヨッピーくんの記事も読んだけど、ああいう"今風"な感じのが今は良いんだよね。ブログなんてもう書けないもん。やっぱテキストだけだと、きついんだろうなぁ。Twitterも一応やってるけど、いまだによく分かんない」
「主な生息地は本屋」とか「生物学的には女」とか「主食はゆるい音楽」とか「かまってやると喜びます」とか言って、自分のことを可愛い小動物みたいに例えて自己紹介書いてる女を見つけたら教えて下さい。すぐに荒らしますんで。いつでも動けるようにしときますんで。
— 新爆 (@shinbaku) 2013, 9月 9
長渕の今回のツアーグッズは長渕の飼ってる愛犬3匹がプリントされたマグカップ、タンブラー、コーヒー豆などですが、ファンの間でも賛否両論です。もうほとんど長渕と関係ないし、そのマグカップでコーヒー飲んでも長渕のこと全然思い出さないからね。 pic.twitter.com/1MQZ21C6
— 新爆 (@shinbaku) 2012, 9月 20
新爆さんのTwitter。140文字でもやはり新爆節が光る。
「リツイートとか、ふぁぼとかってなんなの?」と、言うので僕からTwitterについて説明を受ける新爆さん
新爆さん「いやー、やばいね。時代の荒波についていけてないわ。ヨッピーくんなんかは、ネットの中でもリア充組じゃん? 行動力とかあるからさぁ。俺みたいな元引きこもりはそんな元気ないもの。でもやった方が良いんだろうね。よし! インターネットやるか!」
そんなわけでやる気を見せ始めた新爆さん。テキストのおもしろさはピカ一ですので、ライターを探している方はコンタクトを取ってみてはいかがでしょうか。あと、Twitterのフォロワー数が僕より少ないことをかなり気にされていたので気軽にフォローしてあげてください。
新爆さんTwitter:@shinbaku
新爆さんブログ「Not Found第3章」
「探偵ファイル」の元編集長大住さん
次に行方を調べてみたのが、「探偵ファイル」編集長の大住有さんであります。
生牡蠣(なまがき)を大量に用意して「どこまで腐っても食べられるのか」という実験をしたり、アロンアルファで鼻パックをして皮膚ごとはがれたりなど、「体を張った実験シリーズ」の第一人者といえます。
年代からすると少しテキストサイト全盛期とはズレるのですが、「インターネットを盛り上げた人」ということで行方を捜すことにしました。
「大住 探偵ファイル」で動画検索。体を張ったさまざまな実験を行う大住さんが出てくる
「ムーンマン」として聖火リレーに写りこむ大住さん
大住さんはFacebookであっさり見つかった。上から2番目の「無職 ウンコ製造機」が大住さんであります
約束をして都内某所で待つこと数分......。
おや、あれは......?
大住さんだーーー!
なんか腕が折れてるんですけど。
とりあえず話を聞いてみたいと思います!
Q:今は何をしてるんですか?
大住さん「見ての通り骨折してます」
ヨッピー「いや、それは見ればわかりますけど......」
大住さん「ええと、探偵ファイルを辞めた後、まず1年ほどニートを満喫し、『自分をヤフオクで売る』っていう企画で90億の値段をたたき出しつつ、まぁいろいろあってドワンゴに入社することになったんですよ」
探偵ファイル元編集長 ヤフオクに自分を出品(外部サイト)
自分を売りに出した大住さん。これがきっかけで、ニコニコ動画などを運営するドワンゴさんに入社することになったらしい。
大住さん「それでドワンゴに入って3年ぐらい『ニコニコニュース』を担当してたんですけど、それも辞めて今度はGREEに入って『GREEニュース』を担当してたんですね。そしたらなんか入って4カ月くらいなのに、GREEで早期退職者制度とかが始まって、通常GREEには退職金がないのですが、『今お申し込みの皆様には特別に......ドンッ!!(給料○カ月分)』みたいなこと言うから『退職金うめぇwwwwwww』と思って後先考えなく辞めました。目先の金につられました。それ以来無職です」
ヨッピー「なるほど。で、なんで腕を骨折してるんですか?」
大住さん「あ、骨折じゃなく左肩靭帯(じんたい)損傷です!いかんせん無職で暇なもんで、自転車(ロードバイク)にハマったんですよ。で、1週間かけて東京から実家の淡路島に自転車で帰ったりしてたんですよ。ちょうど台風が来てる時で、ものすごい風やら雨やらで、うわぁこれはやばいな......とか思ったんですが強行して。で、話の流れ的にこの途中で事故にあうと思うじゃないですか? ところが旅は順風満帆で、東京に戻ってきてからすぐに家の近所で車にはねられました(自転車に乗ってて)。スポーツができるようになるまで4カ月かかるらしいんですよね。だから自転車にも乗れないし暇で暇で......」
事故のようすを身ぶり手ぶりで再現してくれる大住さん
Q:毎日何をしてるんですか?
大住さん「一応は転職活動してますよ。たまにですけど。毎日のスケジュールで言うと、まぁ朝8時くらいに起きて、9時に近所のサミットにお酒を買いに行って、10時から朝食兼昼食を食べつつベロベロになるまでお酒を飲んで、お昼過ぎからシエスタ(※昼寝のこと)を楽しんで、17時くらいからぼちぼち居酒屋が開くんでそこで飲んで、夜に戻ってきてインターネット、って感じですね」
ヨッピー「すごい。無職を楽しんでる! よくお金が続きますね」
大住さん「過去の自分頑張ったな! と。僕、もともとそんなに飲食以外お金を使わないんですよ。趣味はネットと物語と自転車なんですけど、それもそんなにお金かからないですし。そんな生活だから貯金もそこそこあったんで。けど、そろそろ働かないとまずいですよね~。人間的に」
唐突に「仕事をください」と土下座を始める大住さん
Q:どういう仕事がしたいんですか?
大住さん「従業員が10人くらいの小さな会社で経理とかやってみたいですね! 真面目に生きてみたいです! あとは真面目とまったく逆になりますが、僕、人生を持て余してる感じがあるんですよ。残りの人生どうやって遊ぼう、的な。なのでやっぱりおもしろおかしいことをやりたいですね。ウェブのコンテンツ制作とかは、ずっとやってましたし、自信もある部分なんでそういう仕事もぜひさせてください!」
ヨッピー「なるほど! たぶん、大住さんが探偵ファイルでバリバリやってたころより、今ってネットのコンテンツ制作できる人がめっちゃ重宝されるんで、たぶん大住さんくらい実績ある人だったら楽勝じゃないですか?」
大住さん「じゃあ仕事下さいよ!」
ヨッピー「僕に言うな!」
大住さん「銭や! 銭が欲しいんやー!!」
そんなわけで絶賛転職活動中の大住さん。ライターやコンテンツ制作ができる人を探している会社はコンタクトを取ってみてはいかがでしょう!
「Mr.テキストサイト」と言っても過言ではないあの人
突然ですが、こちらのイラスト、見かけたことはありませんか?
某テキストサイトのトップページに表示されていたイラストですが、古くからインターネットをしている人は、一度くらい見かけたことがあるはず。
1日に2000PV(ページビュー)程度のアクセスがあれば、「人気サイト」といわれていた当時に、「先行者」という中国が開発したロボットをおもしろおかしくいじった「最先端ロボット技術」というテキストや、ストーカーと間違われて元彼女の今彼氏に「殺す」と脅迫を受けた顛末(てんまつ)をつづった「ヒットマン事件簿」などが人気を博し、驚異の1日20万PVをたたき出す。トークイベントを開けば600人の定員に6000人の応募があったり、サイトにはった広告バナーだけで月に100万円稼いだりと数々の伝説を残し、テキストサイトが大流行するきっかけを作ったのが、健さんが運営する「侍魂」であります。
健さんがいじった中国のロボット「先行者」はあらゆるところでネタにされた
そんな健さんですが、2006年の更新を最後に、ネット上には一切姿を見せておりません。
「結婚して子どももいるらしい」といったウワサはチラホラ流れているのですが、実際のところ、健さんは今何をしているのでしょうか。
では、聞いてみましょう。8年間の沈黙を破り、あの人の登場です!
じゃん! 侍魂・健さんご本人の登場だー!
ヨッピー「すごい! このアフロとサングラス、どこかで見たことある!」
健さん「サングラスは失くしてたんで、今回のために買ったんですよ。わざわざ! アフロは当時のモノを持ってきました。ただ手入れもしてなかったから膨らみがいまいちですね」
Q:なんで出てくれたの?
ヨッピー「絶対、今までいろんなところからインタビューとか、対談とか申し込まれてますよね? それで出なかったのに、なんで今回は出てくれたんですか?」
健さん「そもそも、サイトに公開してるメールって、まったくチェックしていないんです。まれにチェックすることがあっても半年ぐらいたってから『あ、取材依頼来てた』って気づくことも多くて。今回は友達づてにお願いされた、っていうのは大きいです。(※『一流ホームページ』の管理人のゴトウさんに健さんとコンタクトを取ってもらいました)それに、私6年前に結婚して子どもも2人いるんですけど、子育てってとにかく大変で、仕事して子育てして嫁の機嫌もとってるとと余裕がまったく無くなっちゃって。だから個人ブログやSNSの流行からは完全に遠ざかってました」
Q:侍魂を更新してない間は何してたんですか?
健さん「普通に仕事と結婚と子育てですね。サイトでも書いてますけど、私の実家は小さな会社ですが事業をしていて、おやじが社長なんです。侍魂の更新が止まった頃はちょうど実家の事業継ぐために、いろんなところに武者修行に行ったりしてました」
健さん「2年半くらい日本全国を飛び回ったりしていましたね。同業・関連・異業種やら合計で200社くらい回って、働かせてもらったり飲みに連れて行ってもらったりして、社長さん達にお話を聞かせてもらいました」
健さん「その時の話がいろいろネタの宝庫で、ホテルとか取るのも面倒だから、港に車止めて車中泊してたら警察4人に『何してるんだ』って職務質問されて、いろいろ弁明しても信じてもらえなくて連行されそうになったり。ちょうど、北朝鮮の拉致問題が騒がれてた時期なんで警戒してたんでしょうね。あとはうっかり入った健康ランドがハッテン場でおっさんに襲われそうになったり、たまたま知り合って泊めてもらった地域の不動産王に『ぜひ娘をもらってくれ!』って本気で迫られたり。いろいろありましたね」
ヨッピー「めちゃくちゃネタがあるじゃないですか。侍魂でネタにすればよかったのに」
おいしそうにビールを飲む健さん
健さん「仕事に追われてとてもそんな余裕はなかったですね。小さい会社ですから仕事優先しないとつぶれちゃいますから。やっぱテキストサイトって、学生の間しかできないんですよ、ほんと。卒業を機に、更新が止まるところいっぱいありましたもん。今なら分かりますが、社会人になっても続けてけた管理人さん達には本当に尊敬しますね。私にはとても無理でした」
Q:侍魂の思い出は?
ヨッピー「侍魂をやってたころってどんな感じでした? やっぱり大変でした?」
健さん「もちろん大変なこともあったけど、まったく後悔とかはないです。すごく良い経験をさせてもらったなと思ってますよ。20歳そこそこの学生なのに、いろんなところに呼んでもらって、いろんな人と話して、っていう経験はなかなかできることじゃないと思うんで」
ヨッピー「当時、見ていた人たちにメッセージとかあります?」
健さん「そんなに偉そうなこと言えませんけど、『あんな若造を盛り上げていただいて、本当にありがとう』っていう感じですね。私ももう36歳ですが、例えば今あの当時の私と同じ20歳そこそこの学生が書いたものを『おもしろい』って言ってあげられるかっていうとあんまり自信がないんで。ちょっと冷めた目で見ちゃうというか......。それなのに、当時はいろんな人に盛り上げてもらって、いろんな経験をさせてもらって、感謝しかないですよね」
Q:侍魂で大変だったことは?
健さん「今振り返るとめちゃくちゃ良い経験だったんですけど、やっぱり、当時はいろいろと追い込まれましたね。毎日毎日500通とかメールが来るんですよ。 ファン、批判、脅迫、電波、投資やら本当にいろいろメールをいただきました。当時1日50通のメールを処理する方法みたいな本が発売されて、俺その10倍だよ! とか思ったのを覚えています」
健さん「なかにはちょっと変な人もいて、『健さんとデートしました』みたいな臨場感たっぷりの日記を毎日送ってくるんですよ。もちろんその健さんは彼女の脳内の健さんなんですが、『今日は映画に誘ってもらって楽しかった。手をつないだ時とてもドキドキしちゃった』みたいな。それが毎日毎日続くの。最終的にその人は、同棲(どうせい)をへて結婚して私との子どもを産んだことになって、子育て日記まで毎日送ってきましたね。あれはさすがに怖かったですね」
健さん「あとは先行者をいじったのが、中国のネットユーザーは気に入らなかったらしく、北京からメールボムが5万通届いたり、中国語でメールをもらって読めないからエキサイト翻訳に突っ込んだら『船 海 深い 沈める』みたいな。単語でしか分からないけど『ああ、殺す気まんまんだな』って分かるメールが本当に毎日届くんですよ。あとはネタにしようと思って、ホモビデオを借りたら、その借りたところのレンタルビデオ店の店員さんが侍魂読んでて『健さんが誰かわかっちゃいました!』ってメールが来て焦ったり。その人には実名バレしただけでなく、俺のレンタル履歴を解析されてしまって。私の中での若い子→人妻→熟女→喪服みたいなAV遍歴までバレたと思うと頭抱えましたね。そういう大変な部分はいろいろありましたね」
ヨッピー「なるほど......。人気者ならではの悩みですね」
健さん「あとは『自分の限界を知ることができた』っていうのがありますね。ライターとして仕事をもらうことも多々あったんですがプロの世界を垣間見ると、おもしろい文章を書く人の中には『これはどうあがいても勝てないな』って人がたくさんいて自分の思い上がりを自覚させられましたし、何十万っていう人が私の文章を待ってるっていう状況になっちゃうと、ハードルがもう上がっちゃって気楽に日記を書けないんですよ。すごくプレッシャーがかかっちゃって。本を出す、っていう話もいただいたんですけど、精神的に追い込まれてて、締め切りを全然守れなくてダメになっちゃいました。プレッシャーには強い方だと思っていただけに、どの程度追い込まれると自分が自滅するかを知れたのは本当に良い経験でした」
健さん「あとは私を利用しようとして、変な人がいっぱい寄って来たりしたんで、人を見る目はずいぶん磨かれましたね。いろいろな経験をしましたけどいかんせん私みたいな境遇になってる人は、当時私以外に誰もいないんで、相談する相手もいなかったから、すべて自分でなんとかするしかなかったんで、おもしろかったけど大変でした」
確かに当時の侍魂は、ダントツで人気があっただけにそれをおもしろく思わない人も多く、心無い文章が2ちゃんねるなどに書き込まれたりしていたことは僕も記憶にある。
「ずっと1人で炎上してる」みたいな状態だったのでそのプレッシャーはやはり大変だったようだ。
健さんとツーショット
Q:もうテキストサイトはやらないんですか?
健さん「やるつもりはなかったんですが、それがね。子育てが、めちゃくちゃおもしろくて楽しくて。異常に難度が高くて中毒性がある育成シミュレーションゲームですよ。しかも課金に上限がないという恐ろしい仕様です(笑)」
健さん「例えばこのところ英会話に課金してるけど、まったくステータスが伸びないんですよ。うちの子だけ教室で『先生こんにちは!』って日本語であいさつしちゃって。教室で走り回っちゃってクラスで元気は一番だねって先生に苦笑いされて。英会話に課金したら走力が伸びるとか難しすぎるだろ! って思いますよ」
健さん「子育ってコンテンツの宝庫だから、この楽しさを人に伝えたら面白いだろうなってのは常々思っていて、家庭の愚痴をこぼしながらの子育てブログとかをやってみたい気持ちはちょっとですがあります」
ヨッピー「おお! じゃあ『侍魂~子育て編~』とか始まるかもしれないんですね」
健さん「現実問題なかなか難しいですけど、10年ぐらいずっと仕事一筋で働いてきたから、ちょっと視野を広げたいな、っていう欲求は最近高まっていますね。このインタビューを受けたのもそういうタイミングみたいなものがあったからかな。あとは単純に仕事や家庭だと頭を下げてばかりですから、たまには昔みたいにチヤホヤされたかったってのもあります(笑)」
Q:今のインターネットについて
健さん「昔に比べると、薄くなった印象がありますね。昔は発信する人と見る人が分かれていたけど、今はみんな発信する人ですよね。そりゃ薄まりますよ。パスタ食べたぁ(ハートマーク)みたいななかからおもしろい人探すわけですから。ただその分お金が流れるようになったのは良いことだと思います。あとSNSとかついていけてないです。Twitterとか見ていると、自分の時代遅れ感を強く感じます。140文字しかないのに炎上したらどうやって言い訳するんだよッ! 怖くて使えねーよ! みたいな(笑)」
ヨッピー「ブログとかやってる人に、アドバイスとかありますか?」
健さん「ブログやった事ない私がアドバイスって立場ではありませんが、スポットライトが当たるようなチャンスが突然来ちゃった時は、とにかくその波に乗っかっちゃうっていうのが大事なんじゃないかな? 私も先行者でブレイクした時に『とにかくやるしかない!』と思って波に突っ込んでったのが良かったと思います。不安はあったけど、もういいや行っちゃえ! って突っ込めたおかげでたくさん貴重な経験をさせてもらったし。やっぱ表現したり、発信したりすることって、『おもしろいからみんなもやろうぜ!』って感じが大事なんじゃないですかね。そういうのが連鎖して世の中がちょっとだけ楽しくなっていったらいいなと思います」
ゴキゲンにインターネットについて語ってくれる健さん
そんなわけでいろんな話を聞かせてくれた健さん。
「GoPro」を買って子どもの動画を撮ったりなど、今は子育てが楽しくて仕方がないそうなので、近々ほんとに「侍魂~子育て編~」が始まるかもしれない。
今回のまとめ
そんなわけで今回の調査はいかがだったでしょうか!
「昔好きだったインターネットのあの人」みたいなものも、Yahoo!検索を駆使すれば意外と簡単に見つかるのかもしれませんね。
ほかにもテキストサイトの人たちの現状については、この辺に詳しくまとまっているのでチェックしてみても良いかも。
あのテキストサイト・絵日記サイトの管理人は今...(外部サイト)
これらを見ると今でも何かしらの形で発信を続けている方が多いことが分かりますね。
プロの作家、クリエイターとして活動をしてらっしゃる方も多いので、みなさんもこの機会に「自ら発信すること」にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?